ネオ・ビジョンかわら板 -12ページ目

「肉体の門」

監督 鈴木清順
原作 田村泰次郎 
脚本 柳田五郎 撮影 峰重義 音楽 山本直純 美術 木村威夫
出演 宍戸錠/野川由美子/和田浩治/石井富子/松尾嘉代



鈴木清順の1964年制作作品だぁ・・・

ストーリーは・・・戦後まもない日本。ドヤ街でパンパン(娼婦)として生きる女たち。体は売るが、心は売らない。そんな彼女たちのルールは・・「男とただでは寝てはいけない」。そんなポリシーのもと、たくましく生きる女たちの中に、無法者であらくれものの一人の男が迷い込む。奇妙な共同生活を続けるうち、その男に次第にひかれていく女たち。そして主人公の女は、ついにルールを破って男と愛し合ってしまう・・・愛する男とのSEXで、ほんとうの肉体の快楽を知った女と、生きる為にかたくなに売春婦のルールを守ろうとする女たち。その確執や葛藤を描いたの本作です。

もともと鈴木清順の華美な映像美を期待して観てみたが、今作はさすがにちょい古臭かったかな・・・テーマ的にもさすがに古い。性の快楽に身をゆだねることへの罪悪感が、まだ多少なりともあった時代の映画ですし(時代設定も64年当時の時代背景も)。肉体の快楽と精神的な愛が、リンクしたときにほんとの快楽がある・・・というのは、まぁそりゃそうだけどね。

でも時代ものとしては、こういう戦後まもない頃のドヤ街の雰囲気はよく伝わる作品であります。んで、「生きる」ために「女の快楽」を捨てざる負えなかった女性たちの悲しみはよく表現されていました。

当時の作品としては、鈴木清順らしい、先鋭的で挑戦的な作品だったのでしょうが、現在の、援交やらお気楽な売春やらが当たり前の時代には、もう有効ではない作品なのでしょうね。

うーん・・・しかし、最近の映画で、新しい性の解釈を与えてくれる、ほんとの意味での性的な映画はみあたりませんね・・・キューブリックの遺作「アイズ・ワイド・シャット」も、ぜんぜん背徳ではなかったし。女子高生がパンツ売ったり、おしっこ売ったりする日本の性事情の方がよっぽどインパクトあるしね。

実は新たな性的表現としてインパクトを与えうるのは、「日本の萌えオタク文化」なんでしょうかねぇ・・・うーん。美しくはないが。





イラン戦・・・







 

 

 

 

 

負けた・・・イラン2-1日本・・・

くやしいぃい。くやしすぎる。
敗因は・・・と分析できるほどのサッカーマニアではないが。

少なくとも、中田の身体能力の高さはやはり評価すべき。小野もよし。小野と小笠原と交代すべきではなかったかな。よほど小野が調子悪ければ、交代もありだが・・・高原は今回は、いまひとつ。中村はやはり欠かせない。
そして日本は、前線ではもう少しラフにゴールを狙うべき。んでセットプレーを呼び込むべき。イラン選手の少々汚いくらいあざといプレーも出来る選手が欲しい。

そんな感じの結果でしたが、結論としては明確な敗因は見出しにくい内容だったとは思う。それだけにすっきりしない気分ですね。

まぁ今回はアウェー。せめて引き分け、だったんだがまぁ、気持ちを入れ替えて、30日のバーレーン戦!ここは間違いなく勝点稼がねば!!

応援がんばるぞー!!

ミシェル・ゴンドリー作品集

●ミュージックビデオ:ベック「Deadweight」、ビョーク「Army Of Me」「Hyperballad」「Isobel」「Joga」、ケミカル・ブラザーズ「Let Forever Be」「Star Guiter」、ダフト・パンク「Around The World」、ローリング・ストーンズ「Like A Rolling Stone」、チボ・マット「Suger Water」、カイリー・ミノーグ「Come Into My World」他






『ヒューマンネイチュア』で映画初監督、新作「エターナル・サンシャイン」が公開中のミシェル・ゴンドリーのPV集です。

いやー、ほんとこれぞ映像オタク、な作品集ですね。
どれもかなりのクオリティのPV作品ばかりですが、中でも一番インパクトあったのは、ケミカルブラザースの2曲。

「Star Guiter」では、一見「世界の車窓から」な感じの、列車の中から見た流れる風景を捉えただけの環境映像に見えるんですが、これがミニマルなテクノにぴったりシンクロして、眩暈を覚えるほどの変幻を見せていくんです。
この面白さはなかなか言葉でいいづらいんですが・・・たとえば、普通に流れる風景が続いているなと、ぼんやり見ていて、ふと気づくと、実は何度も何度も同じ風景が窓外に流れ続けていたりする・・・そんなデジャブのような、ちょっとした白昼夢をさりげなく創造している作品がこれ。

もう一本の「Let Forever Be」も特筆すべき作品。
前述の作品もそうですが、こちらはより「だまし絵」的な要素の強い作品。
たとえばよくあるビデオエフェクトで、人物の姿をマルチミラーの効果で見せたかと思うと、続いてそのマルチミラーエフェクトと同じ構図が、実際の人物を多数使ったエフェクトなしの実写のみの映像にいれかわっていたりする・・・そんな作品です。

うーん、うまく説明できてませんね。
彼の作品は、まさに百聞は一見にしかず。映像の万華鏡みたいなもんなんで、その魅力は言葉では説明できない種類のものです。とにかく見てもらえばその面白さ・斬新さはすぐにわかると思います。

いわゆるCGばりばりで驚かせようというんでなく、あくまで日常の風景を、微妙に歪ませていくその手法が、ほんとおもろいです。オススメ!!

ちなみにこちらは、「コロコロザイーガ」さんで紹介されていた、錯視・だまし絵サイトです。あんまり見すぎると気持ちわるくなりますが、ミシェルの作品を見
ると、発想の根幹はこれと同じだなぁとわかると思います。
まさに「錯視の映像作家」!!です。


北岡明佳の錯視のページ

あとミシェルのPV写真があるサイト のリンクです。参考までに。

やだなぁ・・・4






しかし・・・なんだか報道ステーション、ってどうしようもないニュース番組なんじゃないかと最近思いますねぇ。

ようやくトップニュースじゃなくなったうようですが、ほんと長い期間、毎日毎日10分以上もだらだらとライブドアの問題を繰り返しやっていました。そんなにみんな興味あるの?もう底が知れたお話でしょ、と思っていたんだが。

それより個人的には、重要だと感じるニュースが、見事1行ニュースで終わっていたのには、ほんとびっくり。

その1「竹島の日」関連のニュース。
その2「BSE関連でのアメリカの圧力」
その3「個人情報保護法案からみのメディア規制問題」

その他にもくさるほど重要なニュースが、きっとあったはずなんでしょう。
それがニュース始まるやいなや、ほりえもん・・・

ちなみに他局の他ニュースでは「竹島の日」には、さすがにその問題が、トップニュースでしたね。

そういや、さんざん問題を大きくしたあげく、けつまくリの「NHK政治介入問題」は、どうしたんでしょうね。裁判係争中で、逃げ切るつもりのようだが・・・

どうなんでしょうね。そろそろ報道ステーションの視聴率は。さすがにあきれられているんではないでしょうか。


個人的な話ではあるが、学生時代の自分は「朝日新聞」や「朝日ジャーナル」など熱心に読む、朝日信者だったんだよなぁ・・・それが、今や、です。

かといって別に他の新聞メディアを信用してるわけではないが。

自分を含め、元朝日信者で、現在、朝日不信な人たちって多いような気はします。

「ワイルドバンチ」!!

監督: サム・ペキンパー
製作: フィル・フェルドマン
出演: ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン










ひゃぁあ。デジタルマスタリングで69年制作作品なのに、音響やら映像がすごいよくなっておるサム・ペキンパーの傑作!

1913年の動乱のメキシコ。パイクをリーダーとする5人のアウトローたちが、革命派の将軍マパッチから米政府の輸送列車の襲撃を依頼される。パイクたちは見事、列車から武器弾薬の強奪に成功するが、マパッチは約束の金の代わりにパイクたちに襲いかかる。100人を超える軍隊を相手に、5人は死闘を展開する……。
S・ペキンパー独特の、スローモーションによる暴力描写が映える、彼の最高作の一つに未公開シーンを加えた完全版・・・です。


ほんと、ペキンパー作品の中でも、このラストの銃撃戦はちょっとすさまじいもんがあります。銃弾の量も、鮮血もはんぱじゃない。悪人も善人も、大人も子どもも女も、みな殺し・・・それが単純に陰残なものでも、気持ちいいカタルシスでもなく描いているのが、この映画のすごいとこ。

アウトローたちには、もちろん感情移入はできるんだが、仁義を通した末の戦いが、これとは・・・うーん・・・凡百のハリウッド映画が、暴力による正義の闘争をかっちょいーもんとして描くのに対し、ペキンパーの描く暴力は、いろんな意味でリアルに「痛い」。そして「痛い」けど「美しい」。


オープニング。子どもたちが、蟻の群れの中にさそりを入れ、食い殺されるさまを見て喜ぶシーン。そして、さらにそのさそりも蟻も、火をつけ焼き尽くすという子どもたちの残酷な行為と、それにぴたりとはまる彼らの「無垢」な笑顔。

自分にとって、このオープニングシーンが、この映画を見終わった後の、印象そのものです。

一筋縄ではいかない、複雑な印象を残すサムペキンパー作品。オススメです!


PS:しかし、この映画の主人公たちは、ほんと豪快に笑う。その笑い方が、かっこいーんだなあぁ。男なら、こう笑え!みたいな気持ちいいマッヨイズムがあります。
今の日本人じゃ、こうは笑えんな。邦画じゃ、黒澤映画の時代劇での、ミフネの笑い方が一番近い感じですね。いやー、大声だして、「うははははは」と笑いたくなる映画でもありました。






レモンガス・・・












どーでもいいネタですが、「レモンガス」のCMは、最近のちょいお気に入り。

小学生くらいの女の子の口ラップ&アクションが、おバカでほのぼの。

またラッパーに欠かせぬ合言葉「YO!」のときの女の子の表情が、なんともいえずよいなぁ。もとい、なんともいえず、よいYO!




下記の時間帯でしかCMやってないレアものなんで、とりあえずご紹介。

テレビ朝日 「渡辺篤史の建もの探訪」 9:30~9:55 土
テレビ東京 「土曜スペシャル」 19:00~20:54 土
静岡第一テレビ 「静岡○ごとワイド!」 16:49~17:53 木
静岡朝日テレビ 「渡辺篤史の建もの探訪」 10:25~10:50 土

こちらのサイトで動画やってますYO



哀悼










YUKIの1歳半の子供さんが亡くなったそう・・・

なんだか、悲しいす。

彼女の歌からもまた、「音楽への愛」があふれ出ていました。

プレス発表された本人の短いコメントの中には、悲しみと、それでも生きていこうという強い意志が感じられて・・・

今のYUKIの音楽性が、このまま、というよりさらにに喜び(JOY)に満ちたものでありますように。

YUKIコメントhttp://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/YUKI/050317_yuki.pdf

「犬は吠えるがキャラバンは進む」小沢健二

1.昨日と今日
2.天気読み
3.暗闇から手を伸ばせ
4.地上の夜
5.向日葵はゆれるまま
6.カウボーイ疾走
7.天使たちのシーン
8.ローラースケート・パーク


金字塔的な傑作「ヘッド博士の世界搭」を最後に解散したフリッパーズギターの頭脳、オザケンのソロ第一弾!!
このアルバムは、ほんとよく聞きました。

「ヘッド博士~」は、「POP TUNE」とはどんなもんかを、究極まで突き詰め、そして練りこんでいった楽曲だらけのすげーアルバムだっただけに、解散はほんと衝撃的でしたね。

んで、個人的にものすごく残念な思いでいた頃に、発表されたのがこの作品なんですが・・・しかし、聞いてみてすぐに出せた結論。
この作品は、フリッパーズを解散させたのも至極当然な、オザケンの決意表明的なアルバムだったのです。

フリッパーズは、自分にとっては、ビートルズから連綿と受け継がれてきた「ブリットロック」の歴史を、忠実に翻訳させた(いわゆる日本人ならではの解釈や土着的な因縁、なんてものを抜きに!)、という意味で日本のPOPSに、新しい地平を見せた音楽だったんです。

ただ、それだけに音楽的には痛快ではあったんですが、個人的な思い入れみたいなのは、あんまりなかったんですね。純粋に音楽性のみの評価で、楽しいな、かっこいーな、と。

オザケン自身が、いわゆる「ロッキンオン」的なリスナー(ちなみに、自分も熱心な読者でした・・・)の感情移入を、あえてさせないような歌詞世界を構築していたんだと思うんですね。
それはたとえて言えば、思いっきり上空から、世界を俯瞰するような視線の歌詞世界。

その究極が「ヘッド博士」だったんですね。
そして、その後のこのアルバム・・・大いなるその変化!


「ありとあらゆる言葉を知って、何も言えなくなるなんてそんなバカなあやまちはしないのさ!」(ローラースケートパーク、より)

半端なインテリではないオザケンが、世界を見渡した言葉が、あまりに俯瞰すぎて、かっこいーんだが、実は、ぼんやりとしか世界しか提示できていなかったこと。そうした世界観からの決別宣言。

そして新たに提示した、オザケンの世界観がこれ。


「愛すべき生まれ育っていくサークル」
「君や僕をつないでる緩やかなとまらない法則」
「神様を信じる強さを僕に 生きることをあきらめてしまわぬように」
(天使たちのシーン、より)

思いっきり地面に足をつけ、自分の想いをさらけ出し、そしてそれを聞く人々の受け取る想いも、すべて、受け入れよう。
そして、自分の傷やら、他人の傷やら、矛盾だらけの世界やら。そういうのをひっくるめて愛していこう。
今までみたいに、べらぼうに多いボキャブラリーで言葉を装飾して、お茶を濁したりせずに、真摯に、愛を込めて、この世界のことを歌っていこう。

そんな決意がこのアルバムからは、聞こえてきます。


自身で記したライナーノーツにも書いてあることなんだが、

「何だかゴスペルみたいだね・・・」

オザケンの友人が、このアルバムを聞いてもらした一言だそうだが、
ほんとに、そんな「ゴスペル」みたいな音楽です。


もちろん歌がへぼいオザケンが、そんなソウルフルに歌えるわけないんですが・・・相変わらずのヘナチョコなオザケンのボーカルが、「ゴスペル」のように響く。

つまりそれが、音楽の奇跡、なわけなのです。


PS:
ちなみにこのアルバムは現在「DOGS」と変更されています。理由はよくわからんが、旧題の「犬は吠えるが、キャラバンは進む」の方が断然イイ!アラビアのことわざらしいですが、このアルバムを聞けば、まさに、ぴたりとはまるタイトルだということがわかります。しかも自身のライナーノーツもなくなっているそうなんで、新たにこのアルバム買う人は、かなり損しちゃうことになりますね。もったいないなぁ・・・



「CLOSING TIME」 トム・ウエィツ

1. オール'55
2. 恋におそれて
3. バージニア・アベニュー
4. オールド・シューズ
5. ミッドナイト・ララバイ
6. マーサ
7. ロージー
8. ロンリー
9. アイス・クリーム・マン
10. 愛の翼
11. グレープフルーツ・ムーン
12. クロージング・タイム




お口直しの音楽です。


ふぅ。しかし、落ち着くなぁ。トムくん。

いきなりファーストアルバムが「閉店時間」だもんな。

でも、まだこのアルバムでのトムくんは、ほろ酔い。
これが「RAIN DOGS」や「SWORDFISHTOROMBONES」あたりになると泥酔。

まぁ泥酔時間になってからのアルバムが、自分のトムくん初体験でしたが。
初めて聞いた印象は、まさに、ONE&ONLY。

ブルースともジャズともロックともつかないオリジナルな音楽性と、まさに聞いたことないようなダミ声。かっこよかったなぁ。

映画「ダウン・バイ・ロー」での演技、もいい味だしてたし。決してルックスいいわけではないが、酔っ払いのダンディズムあふれる、いかした男です。


最近ご無沙汰でしたが、昔のアナログ盤を引っ張りだして聞いいています。

基本どのアルバムもいいトムくんですが、このアルバムは割と誰にでもオススメできるアルバムです。



このアルバムを聞くなら夜中。
少々お酒を飲みすぎたなぁ、と思った頃に聞いてください。

体の中に染みわたっていくアルコールのように、心に染みこんでいく音楽です。ちょい泣けます。それはもちろん、心地いいもんです。



PS:
そういえばRCも「初期のRCサクセション」というアルバムを出していたなぁ。デビューして間もない頃に、そのタイトルでアルバム出すのが、またいいセンスだなぁ。中村一義もいきなりデビュー版で「金字塔」だし。
おもしろいミュージシャンは、アルバムタイトルにも味があるもんだ。




「DOG VILLE」・・・

監督: ラース・フォン・トリアー
撮影: アンソニー・マントル
出演: ニコール・キッドマン/ポール・ベタニー/クロエ・セヴィニー














ここ最近、なごみ系なネタばかり書いていたので、ちょっと気持ちの切り替えが難しいのですが、これは好き嫌いうんぬんは関係なく、まさに「無視」できない映画ですね。


監督はラース・フォン・トリアー。あの賛否両論の、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の監督ですね。

ストーリーは・・・

小さな村ドッグヴィルに、ある日、何者からか終われ逃げこむ女(グレイス) が現れる。そして村の修道士であるリーダー、トム はグレイスに、村の者のために働き、皆に気にいられれば、グレイスが村に留まることに反対するまいと提案する。働き者のグレイスはすぐに村の者の信頼を得るに至るが、しかし、それも束の間、グレイスがいることで村の和が崩れだし、やがてそれはグレイスに対する冷たい仕打ち(レイプ・陵辱)となって襲いかかる‥‥

そんなストーリーを、家の壁や道路を現す白線をひいただけの、何もない演劇的な空間をスタジオに生み出し、そのスタジオの中だけで、物語を展開させています。


しかし・・・見ていてこんなヤな後味にしてくれる映画は、まさに稀有ではないだろうか。

人の「愛」や「友情」や「善意」が、「打算」や「嫉妬」や「欲望」に無様に敗北していくそのあり様・・・

ネタバレなんで詳しくはかけないが、一種の「魔女狩りの時代」的なストーリーといえばわかりやすいお話なんですね。

善意の衣に包まれた、人々の悪意を、その文字通りに空虚な空間(ロケセット)が、何の装飾もなしに、むき出しにしています。


ほんとに・・・この監督の作品は、皮肉屋というか、「偽悪的」とかいう言葉で片付けられるレベルじゃない気がしてくる。「性善説」なんていうものを、確信犯的にあざ笑っているようなその姿勢。まさに徹底的な、ペシミスト、という感じです。
ほんと、友達になりたくないタイプの監督です。

ただ、この映画は見るものすべてに、「人間性」というものについて、なかば強制的(強姦的?)に考えさせる、「力」のある映画であるのは間違いないです。
この監督を肯定しようが否定しようが、です。

ちなみに「ダンサー~」では、自分は強引に泣かされました。でも、後味の悪い涙です。心の中を「強姦」されたような、涙です。カタルシスはありません。

対してこの映画は、少なからずカタルシスはありました。ただ、それも決して気持ちのいいカタルシスではありません。 見ればわかります。

オススメはしないが、見る人にとって、この映画は、決して忘れられない1本になるはずの作品です。

以上